お知らせ
活動報告
NEW多発性筋炎コミュニティに向けた小さな座談会を行いました
「退院した後、どうすれば良いの?」
「それを考えるだけで、脳が疲れてしまう」
これは、多発性筋炎を抱えるしおりさんの言葉です。
診断がつくまで10年以上。
総合診療、皮膚科、神経内科、膠原病内科、検査入院、筋生検…。
長い「たらい回し」の末、ようやく確定診断にたどり着きました。
その間に生まれた長い空白期間は、心身に大きなダメージを残します。
そして退院後、次に直面するのは――
- 的確な情報がどこにあるか分からない
- 誰に相談してよいか分からない
- 体調が悪い中で、自分で調べることがとても難しい
という現実でした。
「ある程度元気なうちにこそ、支援が欲しいのに」
就労を考えたとき、さらに壁があります。
障害者手帳がないため健常者と同条件
しかし、症状が悪化すると手帳が出る
この制度の矛盾に、多くの当事者が直面しています。
「ある程度元気なうちにこそ、働ける支援が欲しいのに」
この切実な思いが、座談会で語られました。
なぜ昨年11月、応募がなかったのか
あしたばの会では昨年11月、多発性筋炎の方が安心して語り合えるオンラインコミュニティを立ち上げようとし、参加者を募りました。
しかし、応募はありませんでした。
私たちが感じた理由は――
- あしたばの会への信頼がまだ十分ではなかったこと
- 参加時の情報提供やアンケートが重く感じられたこと
- 実際に連絡するまで、長い躊躇の期間が必要であること
実際、HPで紹介しているしおりさんも、当会を知ってから連絡をくださるまでに半年以上かかりました。
だから私たちは、4人だけの小さな座談会から始めました
しおりさん、しおりさんのお母様、あしたばの会から2名。
計4名で、1時間の座談会を行いました。
テーマは、
- 今、何に困っているのか
- 支援のどこに課題があるのか
- どんなコミュニティなら安心できるか
でした。
座談会で見えてきた「本当の困りごと」
■ 退院後の不安
制度や窓口はあっても、移動や心理的負担が大きく
「相談すること自体が難しい」
■ 診断までの長い年月
10年以上の空白期間、誤診、過剰投薬による二次的負担
■ 同じ経験をした人の言葉の力
体験談が、何よりの支えになること
医療・支援・制度の課題も共有されました
- 退院時に「次に何をすべきか」をまとめて案内する仕組みが弱い
- 相談機関は来所者対応が中心で、オンライン支援は乏しい
- 難病専門窓口やハローワークは制度・時間の制約が大きい
- 新しい「指定難病登録者証」は雇用率に算入されず実効性が弱い
- 「就労困難性のある難病患者の個別判定制度の創設及び実雇用率算定」は10年以上議論が続いている
これから目指すコミュニティのかたち
あしたばの会のコミュニティは、
- 話さなくても参加できる安心感
- 診断未確定の方やご家族も参加可能
- 静かで温かな場
- 経験の共有によって、これからの道筋が見えやすくなること
- 当事者の声を政策へ届ける継続的な取り組み
を大切にします。
この座談会を通じて、私たちが目指すべき姿が、見えてきました。
今後の予定
まずは多発性筋炎に特化したオンラインコミュニティとして、少人数でスタートします。
参加者の状況に応じて、内容を一緒に作っていきます。
準備が整い次第、本ホームページでご案内します。
なお、今回の座談会では、医療・支援制度・就労に関する具体的な課題についても詳しく話し合いました。
内容を整理しましたので、関心のある方は是非以下もご覧ください。
座談会で見えてきた医療・支援・就労の課題整理
<現在の支援体制と課題>
1.病院での情報提供
- 入院、退院のタイミングで「次に何をすべきか」を明確に案内してもらえる体制が弱い。
具合が悪いときほど自力で情報を得るのは難しく、家族の負担も大きい。 - 支援機関の人が、退院時に役立つ相談窓口・パンフレット等を病棟に常設すること自体難しく、設置交渉に苦労した事例がある。
- 入院、退院時に相談窓口、各種支援制度、地域の支援に関する資源の情報を一括提供する「総合支援窓口」あるいはデジタル支援が常設されていると実効性があり、ありがたい。
2.相談支援機関・制度の状況
- 自治体の難病相談支援室などは来所者へは対応するが、本人が前向きでない段階での窓口側からの働きかけやオンライン相談には消極的。
- 丁寧で温かい対応を受けた支援機関でも、就労面では現行制度の範囲説明にとどまり、実効性は限定的だった。
- ハローワークの「難病専門サポーター」は設置場所が限られており、親身な長時間相談が難しく、対応は制度・時間の制約を受ける。
- 難病患者専門窓口とハローワーク間での連携はあるが、人員・時間の制約で十分な支援に至りにくい。
- アクセス障壁と心理的ハードル 体調不良時は遠距離移動が負担。病院内のメディカルサポートセンターがあっても敷居の高さを感じている。
- 2023年4月開始の新「指定難病登録者証」制度は、企業の雇用率枠に算入されず、採用側の動機づけが弱い。また周知も不十分な状況。
- 当事者は「悪化してから障害者手帳が出る」構造に直面している。ある程度元気なうちには就労できない矛盾が生じており、就労機会を得にくい。
- 厚労省の審議会、研究会で 「障害者手帳を所持していない難病患者雇用率算定に向けた 個別判定」策定の議論が10年以上に亘り継続しており、未だ結論に至っていない。
<医療面での課題>
1.診断確定までの長期化
- 多発性筋炎等の診断は難しく、総合診療・皮膚科・神経内科・膠原病内科等を経て検査入院・筋生検で確定に至ったしおりさんのケースでは13~14年以上も病名が確定できなかった
- この間長期の「様子見」や過剰と思われる投薬による二次的負担が発生した。早期の優先付けと適切な診断ができる体制の重要性が高い。
2.診断を早期に行うために
- 例えばめまい等、原因と考えられる疾患の候補範囲が広い症状では総合診療が起点として有効と思われる。総合診療科への適切な導線・予算配分・人材育成により、早期の優先付けと診断の短縮化が図れるのではないか
- さらにAIによる症状整理・相談誘導・適切受診先提案の仕組みをオンラインで補助的に提供されることは有効
3.診断未確定者が求める情報
- 多くの診断未確定者があしたばの会ホームページ記事に関心を持っている可能性が高い
- 多発性筋炎関連の記事への定期的なアクセスが多く、滞在時間も相対的に長い
- トップページ経由ではなく、記事ページへダイレクト流入が中心であり、診断過程と実体験の記述が実用的な支援になっていると思われる
<コミュニティ運営方針の検討>
1.立ち上げ方針
- まずは多発性筋炎に特化したコミュニティから着手し、参加者の状況により対象を難病全般に拡げることも検討する
- 診断未確定の「疑い」段階の方の参加も歓迎し、家族の参加も可能とする
- 同じ経験を持つ方々と、静かに言葉を交わせる場とする
2.目指すこと
難病患者としての経験を交流することを通じて、自身の治療や就労、社会復帰についての道筋が少しでも明るく見えるようになることを目指す
- 診断までの経緯やお勧めできる医療機関・専門医など情報を共有する
- 日常生活での基本的な身の回りの困難さ、精神的な負担の大きさや体調管理などの課題と、それらに対する行動、工夫などを話してお互いの参考とする
- 就労するために使った支援制度、ツールや体験談などの情報を共有する
3.運営方法
- オンライン中心で地域制約を外し、継続的な交流を可能にする
- 温かく、わかりやすく、敷居を低くし、できれば既存患者会や医療専門家とも連携し、勉強会・Q&Aを定期化する
- 厚労省の議論に当事者・家族の声を反映した提言を継続的に働きかける
ご参考
しおりさんのインタビュー
