お知らせ
活動報告
NEW病名がわからない不安を語り合う面談を行いました
2026年9月あしたばの会は、長いあいだ体調不良の原因がわからず悩んできた相談者のAさんと、同じような経験をされたしおりさん、そのお母様をつなぐ面談の場を設けました。
多発性筋炎から社会復帰をめざす しおりさんの挑戦 – NPO法人あしたばの会
何かを決めるための会ではなく、経験を分かち合い、気持ちを言葉にするための約40分間でした。当会スタッフが進行し、Aさんの問いかけにしおりさんとお母様が答える形で進みました。
※ご本人のプライバシーに配慮し、お名前は伏せ、内容の一部を省略・要約しています。
病名がわかるまで12年 しおりさんの経験
Aさんが最初に尋ねたのは「病気がわからない間、不安はなかったか」ということでした。しおりさんは「不安だらけでした」と答え、これまでの歩みを語ってくれました。
十代から続いた不調
17歳ごろからめまいやふらつきが続き、横断歩道を渡れなくなるなど日常生活にも支障が出ました。病名がわかるまでに約12〜13年、15軒以上の医療機関を受診しています。
「様子を見ましょう」の繰り返し
内科、めまい外来、脳神経外科などどこの科に行っても異常なし。ある膠原病専門の科でも経過観察が続き、確定診断には至りませんでした。長期にわたり、精神科の投薬に頼っていた状態です。
疲れ果てて精神科以外の通院を一時やめた時期もあったそうです。
仕事との両立
原因がわからないため対処のしようがなく、「ごく普通に生活するしかなかった」といいます。数年勤めた後、体調の限界を感じて退職しました。
心への影響
転倒した経験から外出や人混みが怖くなり、動悸なども重なりました。信頼できる人の腕につかまって歩くこともよくあったそうです。
思いがけないきっかけ
別の症状でたまたま受診した皮膚科で大きな病院を紹介され、そこで難病と診断されました。「すごく遠回りをしたが、見つかってよかった」と振り返ります。
診断後も、入院治療や筋力の低下からの回復には時間がかかりました。今も定期的に通院しながら、支えになるキャリーバッグを引いて外出しています。現在は就労移行支援事業所に通い、短時間で働ける仕事を探しています。障害者手帳がないため一般枠でしか応募できず、そこが今いちばんの壁だと話してくれました。
一方のAさんも、微熱やだるさ、体の痛みが続いています。最近ようやく病名が見えてきましたが、確立した治療法がないと言われています。「わかってよかったけれど、このまま寝たり起きたりの生活が続くのかが不安」と、今の気持ちを語ってくれました。
家族も同じようにつらい お母様から伝えられたこと
しおりさんのお母様は、診断名がつかないときの恐怖と不安は「痛いほどわかる」と語りかけました。
「様子を見ましょう」の 残酷さ
次の受診は3ヶ月先。この一言がいちばん堪えたといいます。その間の不安が、本人も家族もさらに追い詰めていくと感じたそうです。
理解したくても届かない
突然歩けなくなる。想像を超えた症状を前に、親でも理解しきれず、ぎくしゃくしたこともあったと率直に話されました。
もう一歩踏み込めばよかった
「わからないなら、診断できそうな病院を紹介してほしい」と伝えていれば、もう少し早く診断がついたかもしれない。ただ、疲れ切っているときにはそれも言えない。それほど家族も疲れるのだといいます。
診断は次への足がかり
病名がわかれば、「これからどうするか」を医師に具体的に尋ねられる。「診断がついてよかったですね」とAさんに声をかけました。
Aさんが「家族も同じようにつらいのですね」と受け止めると、お母様はこう続けました。つらいのは病気のせいではなく、支えたいのにその方法が手元にないからだ、と。
そして、家族以外の人とのつながりが大きかったと振り返りました。治療が始まり退院したものの体調は不安定。これからの仕事や生活のことで、新たな悩みを抱えました。「どうすればよいのか?」と親子共に、社会からの孤立感を覚えたそうです。
そんなとき、あしたばの会が「灯台のように光を灯してくれた」といいます。しおりさん自身も、当会のホームページを見つけてから連絡するまで約半年踏み出せなかったことを明かしてくれました。でも、家族以外の誰かと繋がることができる場として希望を感じたからこそ、あしたばの会にコンタクトをとったそうです。
面談を終えて
Aさんは「もう少し良くなったら仕事も探したい」と、これからの希望を口にしました。ご両親も同じ思いで見守っていると知ることは、小さくても大切な一歩だったのではないかと感じています。
病名がついていても、難病指定や障害者手帳の対象にならず、就労の選択肢が狭まる方がいます。あしたばの会は各自治体、社会福祉協議会や民間の就職支援企業と連携するとともに、制度面では国の研究会、審議会などへの働きかけも続けています。日々のご相談と制度への提言の両方を、これからも大切にしていきます。
体調がすぐれないときでも、社会とのつながりを持ち続けることは支えになります。あしたばの会は療養中の方やご家族が、孤立せずに人とのつながりを持ち続けられるよう、相談や交流の機会をつくっています。貴重な経験を話してくださった皆さま、ありがとうございました。
病名がわからない不安や、療養後の就労について悩んでいる方、そのご家族の方。
ひとりで抱え込まず、あしたばの会にお気軽にご相談ください。
